症例詳細
No.170 スポーツメガネ
バスケットボール部の中学1年男子の母です。小学校3年生から眼鏡をかけています。部活動の顧問の先生から、メガネは危ないのでコンタクトレンズ(以下CLと略す)をする様に言われました。
そこでCLを作りに眼科を受診したところ、スポーツメガネにした方が良いと言われました。どちらが良いのでしょうか。(38歳、母)
とても良い質問です。CLは中学生になれば可能ですが、眼外傷の観点からは明らかにスポーツメガネがおすすめです。子供に起きる重症の眼外傷(後遺症を残す眼のケガ)は中学生以上では80%以上がスポーツによるものです。多くは、野球やサッカーといったボール競技で、バスケットボールも稀ではありません。
エビデンスを持って言えることは、これらのスポーツ眼外傷はスポーツメガネなどの保護メガネをしていれば、その90%は予防できるということです。CLをしているだけでスポーツメガネをかけていなければ、裸眼と同じ(ハードコンタクトレンズは裸眼よりも悪い可能性があります)でボールなどの衝撃は直接自分の眼が負うことになります。一方スポーツメガネをしていれば、この衝撃の大部分は眼鏡が吸収してくれ、眼球への直接の外力は少なくなり、結果的に目のケガがとても軽傷で済みます。
保護メガネの中でもスポーツメガネはポリカーボネートという割れにくいレンズでできていますので、心配ありません。普通の眼鏡でも、ガラスのレンズは割れることがありますが、最近の硬質プラスチックレンズは比較的割れにくいです。つまりスポーツメガネに属さない通常の眼鏡でも枠がしっかりしているタイプの眼鏡であれば、裸眼(もしくはCLをつけている目)よりは、ケガから守る効果が少しあります。
最近のスポーツメガネは、如何にもというような変わった形ではなく、スポーツ以外の時につけていても目立ちません。一方で、そり角が大きい(レンズが顔に水平ではなく、鼻側が前で耳側が奥に引っ込んでいるような形)の眼鏡は、かけにくく調整できにくい眼鏡となりますので選ばないようにしましょう。スポーツをするとき以外では、CLを常用しているという児童には、CL装用の眼に度数のない(±0)スポーツメガネをかけることも推奨されます。いずれにしろ、眼科専門医へお尋ねください。
2025年07月