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症例詳細

No.169  血管新生緑内障

 糖尿病からきた眼底出血で、近くの眼科クリニックに通院しています。眼底出血はまだ軽症のようで自分では何ともなかったのですが、急に眼圧が高くなり血管新生緑内障と診断されました。網膜症を先に治しましょうということで、レーザー光線の治療が始まりました。

 今は少し見えにくくなってきました。このまま失明してしまうのでしょうか。レーザーの治療も少し痛みますし、高額な治療でびっくりしました。医師からは、あまりよくない緑内障と言われていて、心配です。(56歳女性)

 ヒトの眼には房水という液体が循環していて、この液体の流れが眼圧と呼ばれる眼の硬さをコントロールしています。血管新生緑内障は、健康な体にはないはずの新生血管と呼ばれる新しい壊れやすい血管ができてきて、房水の通り道を塞いでしまうために起きる緑内障です。緑内障は、眼圧が高くなって視神経が障害される病気です。

 血管新生緑内障は緑内障の中では、比較的予後が悪いとされています。脆弱な新生血管は、隅角という房水の出口や虹彩などあちらこちらに生じます。血管新生緑内障は、薬剤のみでは管理しにくく、手術治療が必要になることが多いです。しかし、緑内障の最終治療である手術治療を行っても、新生血管から頻繁に出血が起こり、手術効果が得にくくなってしまいます。

 これが予後不良と言われる所以です。まずは血管新生緑内障になった原因疾患を治しましょう。原因としては、糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症、眼虚血症候群などが挙げられます。患者さんの場合には糖尿病網膜症が原因とわかっていますので、お受けになっているようにレーザー治療は有効です。

 また、何らかの炎症が関与していることが多いので炎症を強く抑える目薬や注射治療も良いと思います。レーザー治療の副作用は考慮せねばなりませんが、可及的速やかにレーザー治療をある程度完成させることは大切です。緑内障でダメージを受けた視神経は元の状態には戻りません。現状を良く聞いて、早急に適切に対処していくことが大切です。諦めずに、通院治療を続けてください。