症例詳細
No.168 サルコイドーシス
1か月前に、急に両目が充血して霞んで見えるようになりました。近くの眼科へ行くと、ぶどう膜炎と言われ、紹介された病院で全身的に精密検査しました。いろいろと検査してもらい、肺にも病変があるそうで、サルコイドーシスとの確定診断をしてもらいました。
その後、飲み薬や目薬で、充血もとれ、見え方も回復しました。ただ、慢性的に炎症があるため定期的に診察が必要と言われ、通院しています。いつまで続くのでしょうか?完全に治癒しないのでしょうか? (43歳女性)
ぶどう膜炎とは、眼球の2/3を包んでいるぶどう膜という血管と色素に富む組織に、炎症がおこるものです。目の全体に炎症が及ぶので、炎症細胞があちこちに出現し硝子体に濁りの塊を作ることがよくあります。もちろん充血もしますが、網膜が腫れたりしてとても見えにくくなります。
肉芽腫という細胞の集まりを作ります。ぶどう膜炎の半数は原因がわからないのですが、日本のぶどう膜炎の原因としてはサルコイドーシスが多いことで有名です。肉芽腫は、全身の組織に及び、大多数の方に両側肺門リンパ節腫脹をきたします。肺、皮膚、心臓、腎臓、などに病変が及ぶ全身性多臓器疾患です。女性のほうが多いといわれます。
一方全身には病変をきたさずに、眼にのみ炎症を起こすことがあり、眼サルコイドーシスと呼ばれます。サルコイドーシスは全身性の病気であり指定難病に数えられる病気ですが、多くは予後が良く完治してしまうこともあります。目の場合には、続発性の緑内障や白内障などが起こってくることもあり、眼の中の炎症が長く続く場合もあります。内科的には重症な病変がなくても、数年間は定期検査を続けるほうが良いといわれます。
2025年07月