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症例詳細

No.167  上方視神経乳頭部分低形成(SSOH)

 緑内障の疑いということで、かかりつけの眼科医から大学病院の緑内障外来に紹介されました。視神経乳頭の低形成という診断で、緑内障ではないということでした。しかし、正確にはわからないようで、6カ月に1回の通院を勧められました。

 自分ではあまりわからないのですが、視野が欠けているそうです。視野障害が進行しないか心配です。何か気を付けるべきことはありませんか。治療しないでよいのでしょうか。(40歳女性)

 上方視神経乳頭部分低形成というのは、視神経の先天的な異常と考えられています。視神経乳頭の上の方に特有の形があり、その部分に一致して下方の視野障害をきたしているものです。中心視力は良好です。視野障害としての程度は軽く、自覚症状から発見される場合は少ないと思います。

 初は、母親に1型糖尿病がある場合が多いとされていましたが、そうでない場合もあり、患者背景についてはまだよくわかっていないようです。形としての先天的異常で機能が正常ではないとのことですから、その視野障害は一般的に進行しないと考えられます。ただ、その眼に本当の緑内障を合併する場合があり、注意が必要です。

 つまり、真の緑内障との鑑別がつかないことがあるということです。眼圧が正常よりも高い(25mmHg以上)のであれば、真の緑内障に発展しやすいと考えられる「高眼圧症」として、眼圧を下げながら様子を見るほうが良いと思います。

 眼圧が正常であって、正確に視神経乳頭低形成という診断がつくのであれば、治療を受けずに半年に1回や1年に1回など、経過観察のみでよいと思います。特に何かしてはいけないということは今のところありませんが、転居されても定期的に眼科を受診して、真の緑内障に発展していないかをチェックしていくことをお勧めします。