症例詳細
No.166 アトピー性皮膚炎の眼合併症
幼少時からアトピー性皮膚炎で皮膚科に通院していました。最近目がかすむようになり、近くの眼科を受診しましたら白内障といわれました。その先生によればアトピー性皮膚炎によるものだろうというお話でした。
実は皮膚科の先生からもたまには眼科へ行きなさいと言われていたのですが、何の症状もないのに眼科に行くのも面倒で、今になってしまいました。他にも目の病気が出ることがあるそうで心配です。何か気をつけることがあれば教えてください。(35歳男性)
アトピー性皮膚炎では、アトピー結膜炎・眼瞼炎・春季カタル・角膜炎・円錐角膜・白内障・網膜剥離などの目の病気を発症しやすいとされています。眼瞼炎や角結膜炎など前眼部の病変もそれなりに重症化しやすいですが、白内障では、加齢性白内障で手術をされる年齢よりは若い年齢で手術しなければならないことが多いです。
お若い年齢で白内障の手術をすると、多くの場合、術後に眼鏡を使用しなければならなくなります。また、網膜剥離を発症すると手術治療が必須となりますが、発見されるのが遅くなった結果手術することが遅くなり、結果として後遺症を残すことがあります。
白内障や網膜剥離その他の眼合併症も、目をこすることが関係していると考えられています。目の周りを手でこすることで、眼球に小さな外力が加わります。これは、小さなケガをするのと同じことなのです。小さなケガの積み重ねが、白内障や網膜剥離を発症させます。また、こすることはアレルギーを促進し、次のかゆみを作り出します。
アトピー性皮膚炎の方は、できる限り目や顔をこすらないようにしてください。目に何ら症状がなくても、顔に皮膚炎がある方は定期的に眼科を受診することが大切です。皮膚炎に対するステロイド軟こうの常用により、続発性緑内障になってしまった方は少なくありません。ステロイド軟こうは目に入らなくても、目の周りに塗っていることで眼圧が上がってしまう場合があるのです。このような観点から、定期的な眼科検診をお勧めします。
2025年07月