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症例詳細

No.163  白内障手術早期合併症

 私の父親のことです。2週間前頃に、両眼とも白内障の手術をしていただきました。実は、手術して4日目くらいの時に、持病の心臓が悪くなり1週間ほど入院しました。3日目までは、手術後の目薬をつけながら手術した眼科医さんで経過を診てもらっていました。経過良好とのことでした。

 退院後は、心臓もよくなり動けるようになったのですが、眼科へは足が遠のき目薬も切れたまま、行っていません。もう一度、眼科で診てもらった方がよいのでしょうか。手術後はどれくらい通院するのがよいのでしょうか。教えてください。(35歳娘)

 ご質問ありがとうございます。白内障の手術後3日で、通院をやめてしまったということですね。白内障の手術後は、6ヵ月ほど炎症反応が起こると考えられています。特に手術直後から3ヵ月はしっかり目薬をつけて経過観察してもらうことが大切です。良く見えるからと言っても良くない問題が起きてきていることがありますので、今からでもすぐに眼科を受診することをお勧めします。

 術後早期合併症としては、屈折不正、術後眼内炎、前房出血、創口不全、乱視用眼内レンズの回転や、眼内レンズの偏位や傾斜、虹彩後癒着や虹彩前癒着などが起こることがあります。このうち術後眼内炎は緊急に対処しないと失明するほどの後遺症が残ります。また、合併症が起きた時点で対処すれば完全に治るはずのことも、時間がたってしまうと、修復できないことがあります。他には、しっかり点眼をしていなかった結果、炎症反応が長引き、挿入された眼内レンズを包んでいる皮が収縮して、眼内レンズの位置をずらしてしまうことがあります。また、この皮の後ろの部分が濁ってきて後発白内障(Q&A65参照)が早期に発症したりします。後発白内障は早ければ数ヵ月で、遅ければ数年以上経ってから出てくることが多い、術後の合併症です。

 手術後の目薬をしっかりつけることで、その発症を低下させることができると考えられています。晩期の術後眼内炎、眼内レンズの着色、眼内レンズの落下など、術後の時間がかなり経過してから起こる様々な合併症もあります。白内障と同時に施行された手術内容や、白内障と併発していた病気への手術方法の違いにもよりますが、眼内レンズを入れる手術をしてから、最低6ヵ月はしっかりとした治療と経過観察をお受けになるのがよいです。また、その後も上述しましたような合併症が起こりえますので、眼の健康診断も兼ねて1年に1回程度は眼科を受診することをお勧めします。