症例詳細
No.161 飛沫感染・接触感染を防ぐには(コロナウイルスにも)
新型コロナウイルス感染者が、また急増して不安です。巷でよく言われる密閉密集密接を避けて、手洗いや消毒をこまめにしています。また、外出時にはマスクをつけていますが、他に何か気をつけることはありませんか。今のところ家族には出ていませんが、とても心配です。 (46歳女性)
2019年に中国から世界中に広まったウイルス(Covid-19)による感染症のことですね。ウイルスは細菌よりもおよそ10分の一程度に小さい微生物ですが、種類により伝播様式が異なり、対策も異なります。Covid-19は、空気感染もする可能性が指摘されていますので、おっしゃる通り三密は避けるべきです。密集してしまう場合には換気をよくして、短時間にすることです。マスクをすることは大切です。飛沫を浴びたとしても、マスクをしていれば3分の2は感染を防げる可能性が高いです*1)。マスクは鼻にもかかるように装着してください。
当然ですが、有病者の唾液などを浴びないために密接をさけましょう。人と長時間対面し続けないようにすると、暴露の機会が減ると思います*2)。次に考えることが接触感染です。これは、有病者の排出したウイルスを自身が摂取してしまわないようにすることが大切です。有病者が多数いるようなとき(パンデミックの状態)では、家から外に出たらあちこちにウイルスが落ちていると思ってください。ウイルスは細胞に入り込まないと死んでしまいます。つまり有病者の唾液が飛んだとしても、その場所でずっと生き続けることはできないのです。新型コロナウイルスは、実験的には数日間生き続けるとなっていますし、はやり目の原因となるアデノウイルスでは、乾燥した局面でも2週間以上も生存可能と言われています。
つまり、屋外で触ったところに落ちていたウイルスを自分の手に付けてしまい、その汚染された手で、マスクを触ったり口元を触ったりすると、自身でウイルスを摂取することになってしまいます。外出時にマスクをつけたら、マスクを触るときには(飲食するときにも)、まずその手を洗うもしくは消毒することです。清潔にしていない手でマスクや顔を触ると、外でウイルスを摂取する可能性があるのです。Covid-19の感染対策を日本中で行っている結果、インフルエンザやはやり目などの伝染性疾患がとても少なくなりました。清潔を心掛けることで、多くの感染症を抑えることができることが実証されたと思います。以上のことを実行されるとよいと思います。
【以下は、富岳の計算結果】
*1)飛沫の数は、会話で900個、大声で2500個、咳2回で3万個、30分の会話と咳1回とカラオケ5分はほぼ同じ。
*2)口から出る飛沫は、咳で1.2m離れた人に5~6%が降りかかり、1mでは20%、0.8mでは40%まで増える。
2024年12月