症例詳細
No.160 まぶたが下がった(眼瞼皮膚弛緩症)、まぶたのたるみ
最近両方のまぶたが下がってきて気になります。以前は目が大きかったのが自慢でした。何かの病気も心配だったので、近くの眼科を受診したところ、何らかの病気でもなければ、まぶたが下がったわけでもない、と言われました。年齢による皮膚のたるみだそうです。お薬では治ないとのことで、手術を勧められました。どうすれば良いでしょうか。 (60歳女性)
高齢者では比較的多く起きる状態です。まぶたが下がる病気の原因は、いくつかあります。脳動脈瘤や脳腫瘍など中枢神経の異常が原因となる動眼神経麻痺や神経と筋肉の途中に異常が起こる重症筋無力症が有名です。先天的にまぶたを上げる筋肉が弱いこと(先天性眼瞼下垂)も珍しくはありませんし、目を閉じにくくなる顔面神経麻痺でもまぶたが下がります。正しい診断が大切です。
正しく診断してもらった結果が、眼瞼皮膚弛緩症(がんけんひふしかんしょう)とされたのであればあまり心配しないでください。まぶたをあげる筋肉の働きには問題がなく、まぶたの皮膚が単にたるんでしまったために外見上はまぶたが下がっているように見えるということです。すでに教えていただいているように、お薬では良くなることが少ない状態です。メガネに皮膚を引っ掛ける方法もありますが、うまくいくことは少ないです。局所麻酔で余剰な皮膚を切除することが一般的です。
状態にもよりますが、通常は30分以内に終了するもので難しい手術ではありません。ただし、局所麻酔をすることや皮膚に切開を加えることで、手術後まぶたが赤くなったり一過性に腫れてしまったりすることがあります。高度に皮膚がたるむと視線を遮るほどになりますので、肩こりや首の疲れから頭痛の原因になることがあります。この場合には手術が必須です。一方、瞳にかかるまでまぶたが落ちてきていなければ、自分が見えにくく感じることはなく、外見上だけの問題ですから、しばらくは手術せずに様子を見ていても良いと思います。よくお話を聞いた上で方針を決められると良いと思います。
2024年12月