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症例詳細

No.158  睫毛をきれいにすることは大切(まつ毛シャンプー)

75歳になる母親のことです。結膜炎になることがとても多く、頻繁にメヤニが出ます。ものもらいにもなりやすいです。顔を洗わないというわけではないのですが、汚れやすいという感じです。通院している眼科の先生から、まつ毛のシャンプーというものを勧められ、購入しました。

まだ、試していないのですが、メヤニが多い時に使えばよいでしょうか。まつ毛のシャンプーがあるなんて知らなかったのですが、よく行われている治療方法でしょうか。教えてください。(47歳女性)

睫毛(まつげ)のシャンプーは近年よく行われている治療方法です。ヒトの眼には、デモデックスという睫毛ダニもしくはニキビダニといわれる寄生虫が、よくいます(共存しています)。睫毛の毛根や皮脂腺に生息している毛包虫や毛嚢虫といわれる寄生虫です。いるだけであれば、病的とは言えないのですが、何らかの原因で局所の免疫が落ちたとか、他の病気がきっかけで、睫毛ダニが必要以上に多く繁殖してしまうことがあります。

そうすると結膜炎や眼瞼炎の原因になったり、メヤニが出やすかったり、ものもらいができやすくなったりします。眼の縁をよく観察すると、白いふけのようなものが睫毛に付着していることがわかる時もあります。このデモデックスは抗菌の目薬や眼軟膏では治りにくいのです。石鹸などで物理的化学的にきれいにしてもらうと菌を減らせることが多く、正常の状態に戻ります。

このために開発されたのが睫毛のためのシャンプーです。低刺激性ですから、眼に入ってしまってもほとんどしみません。ポンプタイプの液体です。複数回ポンプを押して手のひらに10円玉程度の大きさになるまで出します。手のひらから指に広げて、その手指でまつ毛に液体がなじむようにやさしくマッサージします。その後流水できれいに洗い流します。朝の洗眼や夜の入浴など、1日2回数週間続けると効果的です。

花粉症(花粉結膜炎)の方が、花粉を洗い流す目的で使用することも効果があります。慢性的な眼瞼炎やただれがよくおきる方など、原因がはっきりしないのに眼の調子が悪い場合などに、眼瞼縁や睫毛付近をきれいにすることはとてもよいと思います。その先生によく診てもらって、しばらく使ってみてはいかがでしょうか。