疾患Q&Aトップに戻る

症例詳細

No.157  長期投薬できない理由

白内障で近くの眼科クリニックに通院して3年になります。視力は両方とも0.9〜1.0以上あってよく見えていますし、日常生活では困ることはあまりありません。1ヶ月分しか目薬をもらえないのですが、何故でしょうか。3ヶ月に1回の検査なので3ヶ月分欲しいです。(56歳女性)

よくあるご質問です。医師は患者さんの健康・疾病を管理しています。目薬は目の中にも浸透するように、飲み薬よりも高濃度で作られている物があるだけでなく、全身に副作用が生じる可能性もあります。従いまして、目薬をつけているということは、その副作用の発現にも注意しなくてはなりません。目薬が必要以上にあると、その目薬がなくなるまで受診しなくて良いと勘違いされる方が多いです。すると、目が赤くなっても、少しくらい見えなくなっても、軽微な症状では再来されません。目薬が無くなる時にいらっしゃいます。

一例をご紹介します。白内障で通院中の方です。3ヶ月ぶりにいらした際にわずかに視力が下がっていて、気づかなかったかと尋ねると、実は2ヶ月前から少し視力が低下してきたことは分かっていたとおっしゃいます。白内障とは別の病気(その方は眼底出血でした)を発症していたケースです。少し視力が下がったと感じた時(2カ月前)に来院していただければ、早く対処できたと推測される方でした。なぜ悪くなったと感じた時に来なかったかと聞くと、目薬がなくなるまで受診しなくて良いと思っていたと言われます。

こういう理由で、当院では原則的に目薬は1ヶ月以上持つようには出していないのです。目薬の中には約1週間で使用できなくなるもの、2週間でMRSAなどの耐性菌を作り出してしまうもの、緑内障を作ってしまうもの、喘息や心不全を悪くするもの、炎症を悪化させるもの等々、様子を見ながら使用すべきものも多いです。お薬だけを希望される方には、問診をして症状に変化がないことが確認できた場合にお出しします。

お薬のみが続いた場合にも長くて6ヶ月以内には、一度診察に来ていただきます。薬に在庫があって次回の予約まで時間がある場合に、新しい症状が出たりいつもと違うことが起きたりした場合には、必ず早期に受診していただければ幸いです。ご理解とご協力をお願いいたします。