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症例詳細

No.156  緑内障点眼薬の副作用

緑内障で通院しています。最近彫りが深い顔立ちになってきたように思います。これも目薬の副作用と聞きました。緑内障の目薬の副作用について教えてください。(44歳女性)

緑内障は日本では失明率が最も高い病気ですので、点眼治療は極めて重要ですが、最近はとても種類が増えて副作用にも注意が必要です。緑内障点眼薬の副作用や禁忌を列挙します。まず、最も多く使われているプロスタグランジン製剤(ラタノプロスト、タフルプロスト、トラボプロスト、ビマトプロストなど)は、睫毛の多毛や剛毛、眼瞼の色素沈着、眼瞼溝深化(目が窪んだり落ち込んだり見えるようになること)が起こりやすいです。

これらの点眼後は5分後に洗顔するか、入浴前の点眼を推奨されるはずです。選択的EP2受容体作動薬(オビデネパグイソプロピル)は、無水晶体眼の方や眼内レンズ挿入眼には禁忌で、プロスタグランジン製剤との併用は勧められません。これらの点眼は少し充血しやすいです。イソプロピルウノプロストンは授乳婦には禁忌とされています。とてもしみる目薬ですがそのことは心配ありません。

βブロッカー(チモロールやカルテオロールなど)は、心不全や喘息・肺気腫・気管支炎の方には、禁忌とされています。炭酸脱水酵素阻害剤(ドルゾラミドとブリンゾラミド)は、重症の腎障害の方には禁忌です。前者はとてもしみますし、後者は霧視(かすみ感)が必発で時に苦みを感じます。Rhoキナーゼ阻害薬(リパスジル)では、かなりの充血が見られますが2時間ほどで和らぎます。アドレナリンα2作動薬(ブリモニジン)は2歳以下の小児は禁忌です。リパスジルやブリモニジンは、数カ月点眼後にアレルギー結膜炎や眼瞼炎が起こることがあります。

副交感神経作動薬(ピロカルピン)は、瞳を縮める作用がありますので、少し暗く見えにくく感じたり、長期の連用で白内障が出やすくなったりするといわれます。虹彩炎などの炎症性疾患には、お勧めできません。他にも、緑内障の点眼は何種類もありますし、これらの抗緑内障点眼薬を2剤合わせて1剤にした、いわゆる合剤というものがあります。合剤は元の目薬にある副作用はそのままあると考えてください。点眼薬の名前はここでは薬剤名にしてあり、製品名を記載してありませんが、後発医薬品は薬剤名と同じ場合が多くなっています。とても紛らわしいですね。詳しくは、処方してもらう医師に訪ねてください。