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症例詳細

No.153  加齢黄斑変性症の予防法

65歳の男性です。右眼の加齢黄斑変性症と言われて、1年ぶりに再発してまた硝子体内注射治療を受けることになっています。左眼は予備軍といわれています。次第に視力が落ちてきていて心配です。お酒もタバコもやめたくありません。しかし、運動は好きでよくします。1週間に3回のテニスで汗びっしょりです。少し太ってはいますが、糖尿病などの成人病はありません。このような私にできる予防方法や、日常生活上の注意はないでしょうか。

加齢黄斑変性症は、網膜の中心部分に出血したり液体がたまったりする病気で、多いタイプは次第に視力を失ってしまうものです。病気の詳細は他に譲りますが、一般に推奨される予防方法を記載します。まず、紫外線はよくないと考えられていますので、屋外では、サングラスや帽子などを活用しましょう。最近では、紫外線よりも可視光線の一部の短波長成分である青色や紫色のほうが網膜を障害するという結果が出てきています。この見地からブルーライトを見過ぎることも控えましょう。

また、お気づきになっているようですが、喫煙も危険因子です。喫煙はこの病気だけでなく身体に悪いことばかり起こりますので、ぜひ禁煙してください。アルコールは、少量はよいかもしれませんが、毎日のように大量に飲酒するのは避けるべきです。この病気は網膜の「メタボ」ととらえる研究者もいますので、やはり、標準体重を維持するのがよいとされ、食べ過ぎはよくないと思います。戦後の栄養状態がよくなかったときにはとても少なかった病気です。

有酸素運動は推奨されます。私は、早歩きやゆっくりとしたジョギングなどの軽いものを約20分間、1週間に3回程度をお勧めしています。飲食物では、活性酸素を取り除いてくれるようなアンチエイジングのものがよいとされています。具体的にはホウレン草やにんじん、カボチャといった緑黄色野菜などです。学問的にはルテインやゼアキサンチンという抗酸化物質の摂取が予防に有効という結果が出ています。ですが、ルテインなどは食事から十分な量を摂取しにくいために、サプリメントが出ています。それほど高額なものではないので、ルテインやゼアキサンチンをサプリメントで摂取されることを推奨します。