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症例詳細

No.151  硝子体内注射の合併症

70歳の父親が加齢性黄斑変性症で近くの眼科へ毎月通院しています。1か月から3か月に1回ほど、目に注射をしています。今までに10回以上は注射されてきたと思いますが、注射した当日には、何かあったら電話するようにと指示されています。

具体的にはどんなことに注意すればよいのでしょうか。また、どんな時にご連絡すればよいのでしょうか。詳しく教えてください。(45歳息子)

正確には、硝子体内注射と呼ばれる治療です。加齢性黄斑変性症や網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫、糖尿病黄斑浮腫、近視性脈絡膜新生血管などに適応があります。注射の頻度は、疾患にもよりますが、初期には1か月に1回を3か月間注射し、その後は間隔が空いていくことが多いですが、初回1回で終わる場合もあります。

合併症で最も多いのは、①結膜下出血(シロメが赤くなる)②一過性高眼圧による血管性病変や緑内障の悪化③術後細菌性眼内炎( 目の中に細菌が繁殖してしまうもの)などがあります。①②は、まったく問題にならないことが多いです。一方③が起こることはかなり稀ですが、放置すれば失明する可能性もある合併症です。

したがって気を付けることは、患部(注射した目とその周り)を不潔にしないことが大切です。洗髪や洗顔は3日程度は控えるとよいでしょう。消毒の綿で目の周りを拭いてください。注射後は、少しヒリヒリしたり違和感があったりしても構いませんが、強い痛みはありません。

また、注射された薬液が眼の中に広がるため、飛蚊症のように流れるようなものが見えたり、粟粒のようなものやゴミみたいなものがわずかに見えたりすることもあります。極端に視力が悪くなることはありません。つまり、強い眼痛や頭痛が起きた場合と、注射後に明らかに視力が落ちた場合、この両者とも至急注射した施設に連絡してください。注射後の1週間以内、特に3日間は注意してください。