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症例詳細

No.149  涙道洗浄(るいせん、涙洗と涙腺)

先日、友人と話していましたら、涙もろくなったという意味だと思うのですが、「最近、るいせんが緩くて…」と言っていました。一方で、私の祖母は、涙目で10年以上近くの眼科に通院しています。るいせんが詰まっているためと説明されているようで、だから涙が出てしまうのだとずっと僕も信じていました。

るいせんとは、涙を出して目を潤わせるものだと思います。詰まってしまうと、乾いてしまって、ドライアイになるかと思うのですが、祖母の眼はどうなっているのでしょうか?(30歳男性)

るいせんという言葉に、誤解される方がかなりいらっしゃいます。ご友人が使用した「るいせん」という言葉は、正しいです。漢字では、「涙腺」と書き、涙を分泌する腺組織です。上眼瞼(うえのまぶた)の外側にあります。一方、ご祖母様の場合には、涙道(るいどう)と言う、涙のいわば下水側の通り道で、眼を潤した後に目元から鼻へ落ちていく経路のことをお話になっていると思われます。

この涙の通り道がふさがる病気が「涙道閉塞(るいどうへいそく)」で、涙道閉塞が起こると常に涙目になってしまいます。ご祖母様の眼の状態は、「涙道閉塞」と思われます。一方、私たち眼科医が涙道を洗浄する場合があり、この処置を涙道洗浄(るいどうせんじょう)と呼びます。涙道洗浄を行うときには、スタッフなどに簡略化して「涙洗(るいせん)します」と言います。

この「るいせん」という言葉が独り歩きして、涙がたまってしまう場合に「るいせんがつまる」というようになってしまったのではないかと想像されます。まとめますと、「涙腺(るいせん)」は涙を出す腺組織であり、「涙洗(るいせん)」は涙道を洗浄する処置です。