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症例詳細

No.147  アレルギー結膜炎①(診断編)

小学4年生の男の子が痛そうに頻繁に眼をこするようになりました。充血以外に涙が多くなり白っぽい目やにが出たりしたこともあって、近くの眼科を受診しました。シロメが水膨れのようになったこともありました。アレルギー結膜炎と診断され、2種類の目薬をもらいました。

今まで、アレルギーと言われたことはなかったですし、本当にアレルギーなのでしょうか?何のアレルギーかはわからないということでしたが、わからないものなのでしょうか?わかれば対処しやすいように思いました。(小学4年生の母親)

まず、アレルギーとは、通常は自分以外の物質に感じ過ぎて自分をも傷つけてしまう現象で、原因物質にはさまざまな物があります。頻度が高いものとしては、ダニやハウスダスト(室内の埃など)、スギやヒノキといった樹木の花粉などですが、現存するすべての物質が原因になりうると考えられています。アレルギー結膜炎は原因物質に強く反応した結果生じた結膜炎で、根本的には病原微生物が原因ではありませんので、人にうつることはありません。

混合感染といってアレルギー結膜炎に微生物が引き起こす結膜炎を合併することもありますから、その場合には注意が必要です。また、瞼(まぶた)の炎症も起こすことがあり、アレルギー性眼瞼炎と呼ばれる場合もあります。ご相談者のお子様の場合には症状からはアレルギー結膜炎と推測されます。しかし、その先生が言われた通りで、ダニが原因であったとしても花粉が原因であったとしても症状は同じように、掻痒・充血・流涙などが起こります。つまり症状から原因物質を特定できません。

診断には、症状と所見で行いますが、紛らわしい場合や今回のように初めてアレルギーが疑われるなどで確定診断したい場合には、涙の成分に抗体を見つける検査があります。この試験で陽性であればアレルギー結膜炎と診断してよいと思います。ただし、陰性であっても否定はできません。ご質問の通り、今後の対策として、原因物質を特定しておくことも有意義と思います。血液中の抗体価を測定して、何種類かの原因を診断するキットがありますので、医療機関で尋ねてください。ただし、その結果、特定の物質に陽性となったとしても、実際にはその物質に反応しない場合や、陰性となった物質に反応してしまうこともあり得るので、100%原因がはっきりするという検査ではありません。

症状が出る環境や季節などを日記につけておくとある程度推測できることがあります。1年の中で何度もアレルギー結膜炎になってしまったり、症状が強く重症の場合が多かったりするなどの場合に限って、血液検査をお受けになるのがおすすめです。原因物質の特定には、パッチテストやスクラッチテストという、原因物質そのものを皮膚に接種する方法もあります。