症例詳細
No.144 他の診療科で目薬をもらったら(ステロイドレスポンダー)
中学生の子供のことです。花粉症がひどくなり、あまりにも目がかゆくなって眼科に行きました。すると、眼圧が高く緑内障になっているとのことでした。いつもは耳鼻科で目薬ももらっていたのですが、ステロイドの眼薬も処方されていました。これが原因の可能性があるといわれました。
緑内障の治療をすることで、眼圧が下がって安心しましたが、目薬とのことでした。いつもは耳鼻科で目薬ももらっていたのですが、ステロイドの眼薬も処方されていました。これが原因の可能性があるといわれました。緑内障の治療をすることで、眼圧が下がって安心しましたが、目薬をつけただけで緑内障になってしまうことなんてあるのでしょうか。
(40歳、母親)
結果からお話ししますとあり得ます。ステロイド薬は、内服でも点眼でも眼圧が上がってしまうことがあります。ステロイドの軟膏では、目の近くに塗っているだけでも同じことが起きるといわれています。ステロイド薬の使用で眼圧が上がる方を、ステロイドレスポンダーといいますが、ステロイドレスポンダーは成人でも3人に一人、小児ではもっと高頻度に認められると報告されています。耳鼻咽喉科や内科などで花粉症治療もしくは何らかの病気で眼薬をもらう場合には、ステロイドの目薬が含まれていないかご確認ください。もしステロイドの目薬を使う場合には眼圧を測って上がっていないか確かめることが必要です。
眼圧が上がって緑内障になってしまったとしても自覚症状はまずありません。緑内障が進行して失明が近いくらいになってからでないと自分で気づくことは不可能です。皮膚科や内科でステロイドの軟膏を顔に使用する場合にも、同じように眼圧測定が必要です。ステロイドの目薬や軟膏が処方された場合には、眼科医に相談されるとよいと思います。目薬の副作用については、抗菌点眼の連用によって耐性菌が作られることも有名です。たかが目薬と思われるかもしれませんが、目薬が原因で喘息を悪くすることや眠くなったりすることなど、全身に作用する場合もよくあります。目薬にもいろいろな副作用がありますので、お気を付けください。
2019年06月