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症例詳細

No.138  白内障の手術前検査

今度、母親が白内障手術を受けることになりました。手術は短時間で終わるとの説明を受けていますが、手術前の検査がたくさんあって長時間かかると説明がありました。

簡単で短時間で終えることができる手術なのに、手術前に長時間にわたり数多くの検査をするのは何故ですか。どんなことをするのですか(48歳、女性)

まず、白内障の手術は技術がとても進歩しましたので、短時間で終わることも多くなりました。しかし、短時間で終わるから簡単ということではありません。先進技術の結集の結果、時間が早く終わることが多いというだけです。白内障の中にはとても難しく、手術時間が1時間以上となる場合もあります。

通常は濁ってしまった水晶体を摘出して、眼内レンズという人工の水晶体を挿入する手術です。つまり、人工のものに入れ替わってしまうため、手術後はもう二度と元の眼に戻ることはできなくなります。したがって、手術前の屈折の状態(近視や乱視・遠視など)や、見え方の状態の把握がとても大切です。

具体的には、角膜のひずみ具合を詳しく診たり、まぶしい光が視界に入った場合の見えにくさの具合を把握したり、手術後予想通りに見えるために必要な眼の構造をしているかどうかの検査が必要になってきます。また、手術前の眼の状態の把握のほかに、手術中に全身に問題がおきないかどうかを調べるために血液の検査や尿の検査、心電図検査など、全身のチェックも行います。白内障が全身疾患から起きていることもあります。その結果、全身状態を改善する治療を優先し、白内障手術時機を延期しなければならなくなる場合もあります。

手術をしてしまったら、もう元には戻らないこと、手術後の見え方にこんなはずではなかったと後悔しないためにも、手術前の検査は的確にしておく必要があります。そういう意味で、手術時間は短い可能性が高いですが、手術前の検査はとても大切です。少々長く感じるかもしれませんが、しっかり検査してもらい、その結果を踏まえて手術後はどのような見え方になるのかの説明を聞いて頂くと安心できると思います