症例詳細
No.134 眼からわかる認知症
85歳になる私の母のことです。周りのものが歪んで見えると言い出しました。そこで、近くの眼科に行くと黄斑上膜と言われました。しかし色々な検査から黄斑上膜のための変視ではないだろうということになりました。
また、壁にいるはずのないクモがたくさん見えるとも言いだしました。確かに眼の病気もあるが、認知症の可能性があると言われました。眼の病気ではないのでしょうか。認知機能はそれほど悪くないと思うのですが、認知症なのでしょうか?(58歳、女性)
レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症に次いで多いと言われる認知症の一つです。認知機能がそれほど悪くない時期にでも、幻視や錯視つまり、現実にはないはずのものが見えたり、物体が曲がって見えたりする症状が現れることが多いようです。
黄斑上膜などの黄斑疾患では変視症と言って物が歪んで見える症状が出ることがあります。物が曲がって見えるところが少し似ていますが、幻視の症状は起こりません。レビー小体型認知症では、この幻視が特徴的で、いるはずのない虫や小動物、人の顔などが動きを伴って見えると言われます。
ものを見る働きの中枢は後頭葉にあるのですが、その部分の血流が落ちるからではないかと推測されています。お母様の場合にも認知症の可能性があります。もちろん正しく黄斑上膜と診断されているようですから、眼科の病気もあるということだと思います。
しかし、見え方の異常、特に幻視の症状をしめす眼の病気は基本的にないと考えられています。まずは内科や認知症サポート医を受診してみることをお勧めします。
2018年08月