症例詳細
No.102 目薬による近視進行予防法(2015年)
中学校1年生になる男の子です。近視の進行が早くて、毎年の様にメガネを強くしています。今ではメガネなしでは生活できなくなっています。
近視の進行予防に有効な目薬による治療方法が新しく開発されたと聞きました。以前目薬による治療はやりましたが、全く効果がありませんでした。今回のものは何処が違うのでしょうか。効果があるのでしょうか? (46歳母親)
低濃度アトロピンという目薬による治療方法のことと思います。アトロピンという薬は副交感神経麻痺剤として有名なお薬で、点眼剤には1%アトロピンがあります。
この目薬は、強力な調節麻痺作用と散瞳作用があり、正確に屈折状態を把握したい時や、抗炎症作用を期待して使用します。1滴で2週間ほど瞳が広がったりピントが合わなくなったりしますので、よく見える状態でこの目薬を使うと見え難くなります。
以前からこの目薬を使うと近視の進行予防に効果があることがわかっていましたが、これらの副作用のために使用できませんでした。最近、この目薬の低濃度のものを使用して近視の抑制効果がある可能性が発表されました。今までの目薬とは全く作用機序が異なります。日本でも本格的な臨床調査が始まっていて、当院でも始めました。
副作用はあまりありませんので、安心して試してみてください。ただし、近視が治るものではなくて、進行を遅らせる可能性があるものです。日常生活のこと(No.53)とオルソケラトロジーのこと(No.69)もご参考にしてください。
2015年11月