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症例詳細

No.100  TS-1(ティーエスワン)の副作用

少し前に胃ガンを手術して、現在TS-1という抗ガン剤を服用しています。涙が多くなってきて、主治医の先生に相談したところ、眼科受診を勧められました。まだ、受診はしていません。目に副作用が起こるような話でしたが、どんなことがおきるのでしょうか?

今は、涙もそれほど気にならなくなってきましたが、眼科受診したほうが良いでしょうか?特に見えにくいことはありません。涙は少し様子を見て、もう少し悪化してからではいけませんか?教えてください。(51歳男性)

TS-1という抗ガン剤は、2007年ごろから多用されるようになりました。これは、胃ガンの手術後などに用いられ、比較的副作用が少なくガンの再発予防に有効とわかってからです。長期間にわたり飲み続ける方が増えています。

一般的には、脱毛や吐き気、貧血などがその副作用ですが、眼科的な副作用もよく起きることがわかってきました。一つはご相談者のように涙目になることです。涙管という涙の通り道がふさがってしまうことによります。もう一つは、角膜上皮が混濁すること、やさしく言えばくろめが濁ってしまうことです。後者については抗ガン剤が涙に出てくるために正常な角膜上皮細胞が障害されることによると考えられています。

ひどい場合には視力も落ちてしまいますので、他の抗ガン剤に変更していただくか中止にするかを主治医の先生と眼科医とで協議するべきです。多くの場合には中止することで混濁は次第に改善します。涙目になってしまう理由ははっきりわかっていませんが、放置すると不可逆性となり、一生涙目になってしまいます。涙管が閉塞しそうになったらすぐにシリコンでできたチューブを入れることで予防できます。

チューブ挿入は外来で比較的簡単にできますが、完全に閉塞してからですとチューブ挿入はできなくなってしまいます。そうなると新たに涙管を開ける手術をしなければならなくなり、難しくなります。その他にもまつ毛が抜けたり結膜炎になったりする場合もあるようです。TS-1を内服し出したら、定期的に眼科を受診して、人工涙液などを点眼することでこのような副作用が起きにくくできる可能性があります。ご相談者の場合もすぐに眼科受診するべきかと思います。

2015年09月