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症例詳細

No.97  近視とは

小学校5年生の男の子のことです。視力検査がよくなかったということで学校から受診のお勧めをもらってきました。近所の眼科を受診したところ、「近視」と言われ、右が0.4で左が0.3でした。私も夫も全くメガネをかけたことがなく、老眼ならよくわかりますが、近視というのはいまいちよくわかりません。)

眼が悪いということでしょうか? 昨年までは紙をもらわなかったので、急に悪くなってしまったのでしょうか? もう治らないのでしょうか? 本人に聞くとそれほど見えにくいとは言わないのですが、眼科の先生はそろそろメガネをかけた方がよいと言われました。必要でしょうか? (35歳母親

近視(いわゆる“きんがん”)とは近くのものはよく見えますが、遠くのものがよく見えない状態です。カメラに例えて考えます。フィルムに相当するのが、網膜という神経で出来た膜組織となります。外界から来た光がフィルムに集光するとピントがあった写真が写るのと同じ原理で、遠方の物体が正しく網膜に集光すれば、良く見える眼ということになります。

近視では遠方の物体の像が網膜より手前で集光してしまうため、網膜にはピンボケの画像が写ることになります。なぜ網膜より手前で集光してしまうかというと、多くの場合は眼の前後径(これを眼軸長といいます)が長くなってしまうためです。ではさらになぜ眼軸長が長くなってしまうのかというとはっきりはわかりません。近視の原因については、ある程度は遺伝の影響があります。その他には近くを見る時間が長いと近視化しやすいと言われています。詳しくは別の機会にお伝えします。

ある程度近くにある物体についてはちょうど網膜にピントを結ぶことができるため、良く見えます。学校生活では、教科書やノートはよく見えるのに対して、黒板の字がよく見えないということになります。両眼の視力で0.7見えれば、近視のメガネをかけなくてもよい場合が多いですが、それ以下しか見えないということであれば近視のメガネをお勧めします。授業中など遠くを見ることが必要な場面では、近視のメガネをかけると良いです。

適切なメガネであれば、メガネをかけたから近視が進むということはありません。また逆に近視のメガネをかけないために近視が進行したり別の病気が出たりするということもありません。軽い近視の場合には近くはよく見えますので、40歳以上になって老眼が出る年齢になっても老眼鏡をかけなくてもよいことが多いです。つまり軽い近視は決して悪い眼ではありません。強い近視になりますと物体にかなり眼を近づけないと見えなくなり、その他の眼の病気も出易くなりますので、注意が必要です。