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症例詳細

No.96  入院手術と外来手術

78歳になる母は、10年前から白内障で、近くの眼科医院へ通院しています。随分見えにくくなってきたと言って、主治医の先生からもそろそろ手術を考えてみたらと言われ手術する決心が本人もつきました。その施設は日帰りで行うやり方なのですが、母はもともと肺に障害があり、酸素ボンベをひいています。

もちろん階段も上がれるのですが、時々息苦しくなるので、入院して手術してもらおうか考えています。主治医の先生は、日帰りでもできるとおっしゃっているのですが、どうしたらよいでしょうか?(49歳娘)

最近の白内障手術自体は、15分以内で終わる場合が多く全身的負担はほとんどありません。手術した眼を眼帯でふさぐ場合でも、大抵は1日しているだけで、翌朝の診察で眼帯は外れてしまいます。それ以降は両眼で生活できます。手術当日も極端に安静にしている必要なく、暴れるようなことをしなければ動いていてかまいませんので、手術日の夕食の備えさえあれば心配ありません。

そういう意味では入院する必要は全くありません。しかし、手術は受けたら終わりということではなく、手術翌日や3日目、1週間目など初めのうちは頻繁に通院が必要になります。経過が悪い場合には毎日のように通院することが必要な場合もまれにはあります。最悪の想定をして、万が一毎日通院することになってしまっても体力的に大丈夫かを考えてください。

また、緊急時に1日に2回通院することになってしまった場合の対策などをしておくのが良いでしょう。このような備えは最長でも術後1週間までです。一方入院では、お食事を作る必要はありませんし、近くには看護婦さんもいるので安心です。ただし、寝床が変わることで認知症が進む場合があります。全身管理が必要なご病気をしている場合のほか、白内障の重症度や白内障以外の眼の病気によっては合併症を起こしやすい場合があるので、この場合も入院手術が良いと思います。

硝子体手術や緑内障手術などでは、入院のほうが良い場合もよくあります。主治医の先生やご家族とよく相談して決めることがよいと思います。ポイントは、手術時間と合併症が起きやすいか否か、術後すぐに処置が必要になる手術なのかどうか、その施設の手術室の位置と移動手段、クリニックまでの距離や通院手段などです。通院の時から何でも気軽に話すことができる主治医の先生に手術してもらったり、その先生が手術に立ち会ってくれたりすると安心して手術を受けやすいと思います。