疾患Q&Aトップに戻る

症例詳細

No.86  ロービジョン患者さんにはタブレット端末がお勧め

網膜色素変性症と診断されています。今は少し暗がりで見えにくいだけですが、将来失明すると思うとすごく心配です。

近くの眼科医さんから携帯電話のiPhoneを購入して、今のうちから操作に慣れておくように言われました。他の会社のものではダメなのでしょうか?理由が今ひとつわかりません。詳しく教えてください。(30歳女性)

網膜色素変性症はご存知のように、次第に見えなくなって行く病気で、今のところ改善させるような有効な治療法がありません。ですから将来の著しく低視力となった場合に備えておくことは、大切だと思います。この病気以外にも緑内障や黄斑変性症など様々な病気で著しく視力が低下した状態をロービジョンと呼びます。

ロービジョン患者さんにiPadなどの情報端末を使うことが近年推奨されています。iPadでは写真を撮って拡大すれば、低視力を補うことができます。例えば電車や飛行機の行き先情報が何と書いてあるかわからない場合に、掲示板の大体の方向の写真を撮って拡大して見るやり方です。文字情報を白黒反転させて見たり(それだけで少し見やすくなります)、ただ拡大するだけではなく自動的に改行したりすることもできます

。iPadにある情報を音声で読み上げさせることも可能です。GPS機能が付いていますので持って歩けば家族に探してもらえたり、現在地点をビデオや写真に撮ってメールに添付すれば正確な位置も伝えられたりします。ホームボタンの使い方や緊急時の使い方で、iPadは他の機種より断然良いと思います(私はアップル社から利益供与は受けていません)。

iPhoneはiPadとほぼ同じような使い方ができるために、お若いうちからその操作に慣れておき、ロービジョンとなった将来iPadを使いこなせれば、きっと生活を助けてくれることと思います。白杖や点字の訓練も大切だと思いますが、是非iPadを使いこなせるようになってください。