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症例詳細

No.75  先天ぶどう膜欠損

4歳の男の子ですが、瞳の形に異常があり、眼科を受診したところ「虹彩コロボーマ」と診断されました。そう言えば、眩しそうにしていることがあったかと聞かれれば感じる程度で、あまり何の症状もありませんでしたし、3歳児健診でもひっかかりませんでした。

今のところ視力にも問題がないようです。先天的な異常で治らないと言われました。これから何か気をつけることがありますか?(28歳母)

虹彩、毛様体、脈絡膜の3つは、眼球の内側を覆い、暗室の役目を果たす血管が多い組織で、総じてぶどう膜と呼ばれます。ぶどう膜は発生学的に、上から包み込まれるように出来上がってきますので、先天的に下側に欠損部分ができてしまうことがあります。これをぶどう膜欠損(ぶどう膜コロボーマ)と言いますが、虹彩コロボーマもこれの一つです。

虹彩コロボーマは、瞳の下の方が丸くなく鍵穴のような形に見えます。詳しく検査しなければわからない程度の軽いものから、無虹彩と言って虹彩が全く無いような症例や大きな脈絡膜欠損となっている重症なものまでいろいろなタイプがあるといわれています。

遺伝性の場合もありますが、そうでない場合もよくあります。性差はあまり言われていません。欠損の範囲が網膜の中心部である黄斑部や視神経を巻き込んでいると、視力の発達も不良です。小角膜や小眼球、視神経の異常や斜視・眼振など他の先天異常を合併することもあります。

また、経過中に白内障や緑内障、網膜剥離などが発生する場合があります。しかし瞳の異常だけの場合には眩しさ以外の症状がなく、機能上全く問題がないこともあります。まずは弱視にならないようにすることが大切です。今の年齢から考えますと、まだ視力の発達段階と考えられますから、これからも通院を続けてください。