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症例詳細

No.58  モノビジョンって何ですか

先日知り合いのお母様が白内障手術をお受けになった時に聞いた話なのですが、術後に眼鏡を使わずに遠くも近くも見えるようにしたとのことです。うわさでたまに聞く多焦点レンズではないそうですが、その方の手術はモノビジョン法と いうそうです。どういうことでしょうか?

新しい手術方法なのでしょうか。私の父が白内障手術を受けた時には、両眼とも遠くが見える状態になって、近くを見る時には現在も老眼鏡を使っています。(33歳、女性)

ご存知のように通常の眼内レンズ(白内障手術時に使用する水晶体の代わりをするもの)を入れると、ピントは固定されてしまうため遠くも近くも両方ともが同時に見えるようにはなりません (お父上はそのピントを遠くにしたと考えられます)。したがって、術後には最低一つ以上の眼鏡を使用しなければならないことになります。

これに対して、モノビジョンとは、片方の眼を 遠くが見えるようにして、もう一方の眼を近くが見易い状態にして、両眼で見ると近くも遠くも見やすい状態にするという、調節力の衰退(老眼)を補うやり方をいいます。

ただし、効き目が 深く関係してくるので、モノビジョンができる人とできない人がいます。術前のしっかりした検査を行い、できるかどうかの判断が必要です。おっしゃるように最近では多焦点眼内レンズという片眼だけで 近くも遠くも見えるようにする手術方法もあります(Q&A46参照)ので、手術前に詳しく説明を聞いてください。

白内障手術時に使用する眼内レンズの片眼のみを多焦点レンズにするという 前述したモノビジョンの変法を行うこともあります。また、コンタクトレンズやメガネを使用している患者さんの初老期の治療に応用したりすることもあります。いずれにしてもできる人と できない人がいますので、コンタクトレンズやメガネでの応用は試せばよいですが、手術治療に応用する場合には術前のしっかりした検査や説明を聞いてください。