症例詳細
No.57 妊娠しているのですが、目薬は大丈夫ですか?
先日、ものもらいが左目にできて、近くの眼科にかかり目薬をもらいました。抗生物質の目薬と炎症を抑える目薬ということでした。現在妊娠3か月なのですが、目薬を使っても 問題ないでしょうか。その先生に伺いましたところ、多分大丈夫だろうということでしたが、妊娠は初めてのことで、心配しています。
本当のところはどうなんでしょうか。また、 出産した後も母乳で育てようと思っていますが、その時にも目薬を使っても大丈夫でしょうか。詳しく教えてください。(33歳女性)
まず、妊娠初期(2か月まで)には、薬の催奇形性(子供に奇形を作ってしまうこと)が問題になりますが、目薬は量的に微量であることや全身への移行は少ないことから、催奇形性は 非常に少ないと考えられています。また、目薬で奇形が生じたとする例は現在まで報告されていません。
ただ、完全に安全性が証明されているわけではありません。妊娠初期以降の時期には 胎児への移行が証明されている薬剤もありますが、目薬は内服薬に比べて非常に微量ですからおそらく問題ないと思われています。ただし、自律神経(交感神経や副交感神経)に作用する 薬剤やプロスタグランディン製剤や炭酸脱水酵素阻害剤は、避けたほうが良いとも言われます。
授乳への影響もいくつかの薬剤では証明されていますが、実際上問題になることは少ないと 考えられています。ただし、自律神経に作用する薬剤は避けたほうが良いかもしれません。まとめますと、絶対に安全だと言える目薬はありませんので、妊婦さんには必要最小限の 目薬にしたほうが無難かと思われますが、現実にはほとんど問題にならないと考えられています。
したがって今回の目薬は必要であれば使用してよいと思います。ただし、目薬には 使用期限があり、開封後は汚染されていきます。開封した目薬を1か月以上は保管しないようにしてください。
2023年07月