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症例詳細

No.52  涙道がつまった?

数年前から涙がよく出て、いつも涙がたまっている感じがしていました。先日思い切って眼科を受診しましたら、涙の抜け道がつまっているとのことです。その時には、 水を鼻の方に流すとのことで、目もとに注射針を打たれました。

口の中に水が流れたか何度も聞かれたのですが、よくわかりませんでした。なみだ目を治すには、まず、 水が通る状態にならないといけないのでしばらくの間、チューブを入れておく必要があると聞きました。またあんなに痛いかと思うと少しくらい涙が出ても、このままにして しまおうかと思うのですが、だめでしょうか。(45歳女性)

涙は、目の表面を潤した後に、鼻の奥から口へ抜けていくようになっています。まばたきの度に眼の表面の老廃物を外へ出すことにより目を清潔にしているのです。 この涙の抜け道が涙道です。涙道がつまるといつも涙がたまっている状態になり、時には頬の上や目じりや目もとに涙があふれてきます。

涙道がつまったままにしておくと、 時に細菌感染を引き起こし、目もとがひどく腫れて赤くなり痛みが出ます。これを涙嚢炎と言います。急性の涙嚢炎では、直ちに治療しないと細菌が眼の奥に行ってしまう場合が あり危険です。慢性の場合は、急性期のように痛くなったり赤くなったりしませんが、時に急激に悪くなって急性涙嚢炎となります。

ですから、涙嚢炎となっている場合には治療すべき です。涙嚢炎になっていないもしくはなったことがない涙道閉塞の場合には、放置していらっしゃる患者さんもいらっしゃいますし、全員が涙嚢炎になってしまうわけではありません。

ただし、その可能性はありますから、一度しっかりと治療されてはいかがでしょうか。説明をお受けになったようにチューブを入れる方法や内視鏡で治す方法、メスを入れて骨を削って 涙道を再建する方法などがありますが、麻酔をしっかりして行えば我慢できないような痛みが出ることはありません。チューブを入れる方法はそれほど大変ではありませんし、 初期の治療方法としてお勧めです。チューブを入れることにより、再びつまってしまうことを防ぐ目的で行われ、数ヶ月間の留置後にチューブを抜きます。