症例詳細
No.48 黄斑円孔って?
1か月ほど前から右目の中心が見えにくく、眼科で「黄斑円孔」と言われました。手術を早めに勧められています。どんな病気なのでしょうか?
今まで目の病気はなく、手術と聞くと不安です。手術以外の治療法はないのでしょうか。入院も必要とのことですが、手術は難しいのでしょうか。(55歳女性)
私たちの眼は、注目したところはよく見えますが、それ以外の周りの部分はぼんやりとしか見えない働きをしています。カメラに例えるとフィルムに相当することころが網膜であり、その中心部分を黄斑と呼び、視力をつかさどる最も重要な神経細胞の集まりです。
「黄斑円孔」とは、その黄斑に小さな穴が開いてしまう病気です。多くは50〜70歳代に起こり、女性にやや多いとされます。原因は、目の中の「硝子体(しょうしたい)」という透明なゼリーが加齢で網膜を引っ張ることと考えられています。初期には見え方の低下が軽いこともありますが、放置すると自然に治ることは少なく、視力が落ちていきます。
現在は「硝子体手術」で治すことが可能です。手術は通常1時間以内で終わり、局所麻酔で行うため強い痛みはありません。発症から時間がたつと一度の手術では治らなかったり、治っても視力回復が良くなかったりするため、早めの手術が勧められます。術後は、目の中に入れるガスで黄斑部を押さえるために「うつ伏せ姿勢」をとるよう指示されます。
また、中年以降では黄斑円孔の手術と同時に白内障手術を併用することも少なくありません。外傷による黄斑円孔の場合は、自然に閉じることもあるため、しばらく経過をみてから手術を検討することもあります。
2025年09月