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症例詳細

No.41  眼痛時は温めるべきか冷やすべきか?

先日、目が痛かったので温めていました。少しも痛みが引かないばかりか、もっと痛くなったので、眼科を受診したところ麦粒腫といわれました。眼科医から冷やした方がよいと 言われました。

私は腰痛持ちで温めるとよくなりますし、目を使いすぎて痛くなったら蒸しタオルをあてておくようなこともしてきました。そのような製品も売られています。 目が痛い時には、冷やした方がよいのでしょうか。それとも温めた方がよいのでしょうか。教えてください。(43歳男性)

患部を温めたり冷やしたりすることを、温罨法・冷罨法と呼びます。古くからある民間療法ですが、現代の西洋医学的には、必ずしも確かなエビデンスを出しにくいところだと思います。 大雑把にいえば、温めることによる効果は、血管が拡張して血液の循環がよくなることです。

ですから、急性期の炎症性疾患は悪化する可能性があると思います。 麦粒腫は細菌による急性化膿性炎症ですから冷罨法の方がよかったということになります。また、打撲による腫れや痛みの急性期には、冷罨法は非常に効果的であると思います。 角膜びらんのような傷の痛みにも有効です。

ただし、慢性的な炎症には温罨法によって新陳代謝が促進されて、改善効果があると考えられる状態があること、また、マイボーム腺梗塞と いう瞼の脂が詰まるような状態では、ホットパックによってよくなることが知られています。では、急性期の炎症性疼痛時には常に冷やせばよいかというと、そうでもありません。 閉塞性の血管炎では、冷罨法により急性期の炎症を抑制する方向にもっていけたとしても、血液の流れは悪くなると考えられます。虚血性視神経症という有名な眼の病気では、 側頭動脈炎を合併することがあり、こめかみの痛みが特徴とされます。この場合に痛いからという理由で顔面を冷やせば、重篤な視力障害を助長させる可能性があると思います。

しかし、抗炎症作用により、血管が閉塞しにくくなるかもしれませんし、であるとすれば疾病の予防として良い対症法となりえます。つまりよくわからないということです。 ですから状態によって温罨法がよい場合や冷罨法が良い場合のどちらもがあること、またどちらがよいのかわからないことも多いので、眼痛時に必ず行うべき方法は状態に左右されると いうことです。その都度、担当の医師に聞くのが最善かと思います。