症例詳細
No.40 目薬のさし方
母親が緑内障で眼科に通院していています。次回の受診予約日まで目薬が足らないということで、母親のかわりにもらいに行った際に、主治医の先生から目薬の消費が非常に速いので、 さし方を見るように言われました。
母が点眼するところを見ると、目薬の先端がまつ毛にくっついてしまっている感じで、3~4滴以上入れているように見えます。どのように教えれば よいでしょうか。(40歳女性)
ご高齢の方では、よく起こる問題です。前回の「目薬の基礎知識」で書きましたように、目薬はしっかり目に入れば1滴で十分に効くように設計されています。一度に3滴さすことで 問題が起こるかというと、1滴分以外は外に流れ出てしまうため眼のふちがただれる以外には特に問題ありません。
ただ、緑内障の目薬は自費で購入すると考えますと1本2000円~3000円 するものが多いので、もったいないと思います。また、目薬の先端がまつ毛についたり、目のふちにくっついたりしますと、薬自体が汚染されますので、よくありません。目からある程度離して、うまく1滴させれば問題ないのですが、ここでは“げんこつ法”をお教えします。
まず、点眼前に手を洗います。片手でげんこつを作って、顔を上に向けます。 げんこつの人差し指の付け根もしくは近位指節間関節あたりで下まぶたをひきます。もう片方の手で目薬を持ち、げんこつの上に添えて目薬を滴下します。このやり方で、 先端部分は2cm程度は目から離れていると思います。1滴で入らなければ2滴、3滴とたらしてかまいません。
ただ、まぶたについてしまった液は良く拭き取ってください。 緑内障の目薬の中には、点眼後5分してから洗顔をしなければいけないもの、冷蔵保存が必要なものがありますので、確認したほうがよいです。また、1日1回で済む目薬も多いですが、 これを1日複数回つけても意味がないばかりか重篤な副作用を起こす物がありますから、1日の点眼回数についてもよくご確認ください。
2023年05月