症例詳細
No.37 “さんりゅうしゅ”って(霰粒腫)
先日、右眼にメンボみたいなものができました。以前はよく左目にできたのですが、今回は痛くありませんし、腫れもたいしたことがなかったので、様子をみていました。 1ヶ月待っていてもよくならず、少し大きくなったので眼科を受診しました。「さんりゅうしゅ」と診断され、目薬をもらいました。 メンボとは違うものと言われました。
「さんりゅうしゅ」って何ですか。1週間ほど目薬をつけたのですが、良くなりません。お医者さんからはしばらく様子を見てから 治らなければ手術すると言われたのですが、放っておいてはダメでしょうか。以前メンボを切った時にすごく痛かったので。(30歳男性)
霰粒腫(さんりゅうしゅ)は、まぶたにある脂(あぶら)の腺が詰まって溜まってしまったもので、皮膚にできるニキビのようなものです。麦粒腫(いわゆるメンボ)は、 細菌が感染したできものですから、基本的には違うものです。麦粒腫は痛みを伴いますが、霰粒腫はあまり痛くありません。
ただ、二次的に感染を起こすことがあり、 この場合には痛くなったり赤くなったりして、麦粒腫と鑑別できなくなります。霰粒腫は目薬で治ることも多いですし、放置しておいても自然に消失してしまうことがあります。 その先生が言われたように、目薬でしばらく様子をみるのがよいでしょう。あまり目立たず手術したくなければする必要はありません。
ただ、まぶたの外側や中側に破れることが ありますから、経過はみてもらう必要があります。治療方法としては、目薬以外にステロイドを注射する方法があります。何度もできて切開した方は一度試してみる価値があります。 目薬にしても注射にしても霰粒腫ができてから早期の方がよく効きます。手術は、局所麻酔でまぶたの裏側もしくは皮膚側から、切開して内容物を出します。麻酔がよく効けばあまり 痛くありませんが、感染を起こした急性期では痛いこともあります。
通常は後々まで傷口が目立つことはありません。薬物治療でよくならず、長期間経過したもので大きさも目立つものは 手術したほうがよいと思います。高齢者では時に悪性のもの(癌)と見分けがつかない場合もありますから、注意が必要です。
2023年05月