疾患Q&Aトップに戻る

症例詳細

No.33  眼の底に膜って?

先日健康診断を受けたところ、眼の項目で要精密検査となりました。眼科を受診すると「黄斑上膜」と言われました。何でも眼の底に膜が張っているとのことです。

原因は不明とのことでした。何ら症状はないのですが、どんな病気なのでしょうか。ひどくなれば手術が必要とのことですが、放置していてよいのでしょうか?日常生活で注意することが ありますか。教えてください。(42歳男性)

眼をカメラにたとえますとフィルムに相当するところが、網膜と言います。この網膜の中心部分が黄斑部(おうはんぶ)で、視力をになう大事な眼の底の部分です。文字通り、この黄斑の上に膜組織ができてきたものを黄斑上膜(おうはんじょうまく)と呼びます。黄斑前膜、網膜上膜、網膜前膜などいくつかの名前がありますが、ほぼ同義語としてよいです。

この病気は、本当の意味での原因はわかりませんが、網膜の前にある硝子体というゲル状の組織に年齢性の変化が起こり、さまざまな細胞が増殖したり細胞外の成分が集まったりする ことにより膜状の組織が形成されるものです。全く誘因のない特発性とされるもののほかに、眼の怪我や病気や眼の手術などに続いて起こる続発性のものがあります。

膜が厚くなって くるとゆがみやひずみなどを自覚したり、視力が低下したりします。ですから定期的に検査を続けていけばよいでしょう。ゆがみやひずみがひどくなったり、視力低下が進行したりした 場合には手術治療を行います。これは、硝子体手術といって、眼の中に器具を入れて行うもので、増殖した膜を剥がしてきます。

ある程度の侵襲や危険がありますし、手術が成功しても 見え方が完全に良くならない場合もありますから、手術時期については様子を見ながら慎重に決定していくのがよいでしょう。似たような病気に黄斑円孔(おうはんえんこう)というものが ありますが、別の機会に記述したいと思います。