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症例詳細

No.29  仮性近視とは?

小学校3年生の男の子なのですが、学校の視力検査で右C左Cをもらってしまいました。2年生のときには右A左Aでした。学校から帰ると外で遊ばずに、ゲームばかりやっています。 勉強は全くやらずに、漫画もそれほど読んではいないと思います。

眼科を受診すると「仮性近視」と言われ、寝る前に目薬をつけて通院しています。目薬を始めてすでに半年になる のですが、あまり良くなりません。メガネを作るべきでしょうか。(35歳女性)

仮性近視という言葉は日本にしかない言葉で、偽近視(pseudomyopia)の俗称のように扱われていると思います。偽近視とは、 本来は中毒や外傷などで起こる一過性の近視をさしますが、日本では近業によって生ずる偽近視が近視発生の初期もしくは前段階と考えられています。

近業では、 水晶体の厚さを調節している毛様体筋という筋肉の緊張が続くために、一時的に近視の状態になるとされています。眼科では、調節麻痺剤の点眼をして近視の状態が改善されることで 診断されます。偽近視と診断されれば、目薬や生活改善などで治る可能性があります。

しかし、偽近視は学童の数%にすぎないという報告や、ほとんどないとする説もあります。 2~3ヵ月間目薬を続けても効果が出ない場合には、偽近視とは考えにくいですから、必要に応じてメガネを処方してもらった方が良いと思います。メガネを作る時期としては、 偽近視でないと判断され、学童であれば黒板の字が見えにくくて授業の理解に支障が出る前がよいでしょう。基本的には、両眼の視力が0.7未満になった頃が一つの目安です。

過矯正のメガネは近視を悪化させる可能性がありますから、メガネ屋さんに行く前に眼科で正しく処方してもらってください。外で遊ぶ子供は、家の中だけで遊ぶ子供よりも近視の発生が 少ないという報告もありますし、家の中でゲームばかりをさせることは近視の発生に関してだけでなく、運動能力の発達にも影響すると思います。