症例詳細
No.12 めいぼ、めばちこ、ものもらい(麦粒腫)
1週間ほど前に右目が痛くなって、鏡を見たら上まぶたが腫れて赤くなってきました。少し痛みは和らいできたように思いますが、しこりがあるようでなかなかひきません。 メンボだと思うのですが、放っておいてよいでしょうか。
1年前に下まぶたにできた時には、眼医者に行ってもらった眼薬ですぐ治ったのですが、今回はその目薬をつけても 治らないのです。またコンタクトレンズをつけているのですが、中止した方が良いでしょうか。(23歳女性)
いわゆる“ものもらい”のようですね。正式には麦粒腫(ばくりゅうしゅ)といいますが、“めいぼ”“めばちこ”など地域によっていろいろな呼び名があるようです。
麦粒腫は、まつげの根元にある汗腺や脂腺もしくはまぶたの内側のマイボーム腺という組織に細菌が感染してできるおできです。抗菌剤の内服や抗菌剤の点眼により、治療します。 お薬だけで治ることもよくありますが、お薬でよくならない場合には切開して膿を出します。早いうちのほうが、また、過去に抗菌剤を使用していない場合のほうが、 治り易いと思います。
つまり、頻繁に抗菌剤の点眼を使用していると耐性菌が発生しやすいので、むやみに抗菌点眼を使用していないほうが効き易いと考えられます。時に、 医療機関で処方された目薬をずっととっておいて時々使用している方がいらっしゃいますが、目薬も古くなるとその中で雑菌が繁殖しますので、かえって危険です。 その都度病状にあったお薬を処方してもらい、一時的にでも使用しなくなった目薬は捨てましょう。また、もしコンタクトレンズ(CL)を使用していらっする方であれば、CLは病気があってその治療目的で使用している 場合を除いては、健康な目に使用するものですから、目の調子が悪い場合には使用しないでください。
麦粒腫が何度もできる場合には、特に高齢者の場合には悪性腫瘍のことがあるので、 注意が必要です。麦粒腫とよく似ているもので、霰粒腫(さんりゅうしゅ)という肉芽腫性の炎症疾患があります。この場合には、ステロイドの点眼や注射が有効です。 逆にステロイドの点眼は細菌やウィルスの感染を誘発しますので、自己判断せず、眼科を受診して的確な診断と正しい治療をお受けになってください。
2022年09月