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症例詳細

No.159  ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズ

中学2年生の女子の母親です。近視に対して今までは眼鏡で過ごしてきた娘ですが、もうすぐ3年生にもなるし、おしゃれにも気を遣うようです。コンタクトレンズをしたいと言い出しました。ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズはどちらがよいでしょうか。詳しく教えてください。(48歳母親)

とても多い質問です。ハードコンタクトレンズをHCL、ソフトコンタクトレンズをSCLと略すことにします。以前は、HCLをしている方も多かったのですが、最近の市場では、圧倒的にSCLが多くなっています。それぞれにメリットとデメリットがあります。HCLの利点は乱視が強くて乱視用SCLで視力が出にくい方や円錐角膜という病気の方でも、視力が出やすい、つまり矯正効果がよいレンズです。慣れてしまえば着脱が簡単に行え、水道で洗うことができます。また、角膜の傷など病気になった時に痛みを感じやすいので、病気になった時に早期に気づき易いという利点があります。

さらに、HCLを2~3年で買い替えるとしても、2週間使い捨てタイプや1日使い捨てタイプのSCLを買い続けるよりは、安価です。一方で、装用早期の異物感は1か月程度で減っていきますが、レンズが固いためにある程度の装用感は常にあり続けます。生まれて初めてHCLをする方やSCLの長期装用者では、痛みのために購入をあきらめる方がいるほどです。激しい運動や打撲等では、一瞬で外れてしまうことがあり、紛失したり破損したりしてしまうことがあります。

また、長期間に装用していると、加齢性眼瞼下垂が起こりやすいです。一方SCLは、装用感がとてもよく、つけていることを忘れてしまう方もいらっしゃいます。激しい運動や衝撃でも落ちにくいです。逆に程度の軽い角膜のキズは症状が出にくいので、病気の発見という意味では遅くなる可能性があります。また、乱視が強い方や不正乱視にはHCLより矯正効果が悪いです。1日使い捨てレンズを除けば、洗浄消毒をしっかりしないと汚れやすく、病気を起こしやすいです。したがって、通年性に使用する使い捨てではないタイプのSCLは基本的にお勧めできません。また、HCLを2~3年で買い替えるとすれば、SCLは比較的高価になります。

いずれにしましても、3~4ヶ月に1回のコンタクトレンズ定期検査をしていく必要はありますし、眼鏡を全く使わないというやり方はよくありません。治療のためにCLを常用する一部の例外患者さんを除けば、朝晩や外出時以外は眼鏡で過ごすことが一般的です。患者さんの眼の状態や生活環境に左右されることも多いですから、かかりつけの眼科医に良く尋ねていただくのがよいと思います。