症例詳細
No.150 アレルギー結膜炎②(種類と治療)
先日、目がとてもかゆくなって眼科を受診しました。友人には花粉症の方が多いですが、自分は花粉症とは無縁と思っていました。
くしゃみや鼻水といった症状はないのですが、花粉症なのでしょうか。目薬をつけていたら少し良くなってきましたが、どんなことに気をつければよいでしょうか。(28歳女性)
アレルギー(性)結膜炎は、①通年性あるいは季節性アレルギー性結膜炎、②アトピー性角結膜炎、③春季カタル、④巨大乳頭性結膜炎、の4つに分類されます。①は日常よく見られる結膜炎で、花粉症もここに入ります。花粉症に伴う結膜炎は「花粉結膜炎」と呼ぶこともあります。②は、アトピー皮膚炎の方が起こす結膜炎で、眼瞼炎を伴うことが多いです。③は小児期に多い重症のタイプで、増殖病変が主体になります。④はコンタクトレンズ装用者に多いタイプで、瞼の裏に大きなぶつぶつができることが特徴です。
ご質問者の場合は、①と推測されます。花粉症として目の症状のみを強く感じる方もいらっしゃいますが、花粉が原因でない場合もよくあります。多い原因としてはハウスダストなどの埃やダニがあります。治療をしても治りにくい場合や繰り返す場合には血液検査によりある程度の原因を検索することができます。春や夏・秋など症状が起きる季節が同じ場合には季節性結膜炎であり、花粉症の可能性が高いです。どのタイプの結膜炎であっても、痒みを感じた時に強くこするとその時には気持ちがよくても、数時間から10数時間して症状が悪化する場合が多いです。
強いかゆみを感じた場合には、決してこすらず保冷剤などで冷やすと効果があります。温めると逆効果です。もちろん医療機関で処方された目薬や軟膏を使うことは大切です。症状の強さにより強力な治療薬を使い分けます。強いお薬にはそれなりの副作用が起きる可能性がありますが、しっかり通院されていれば副作用への対処が可能です。薬の使い方として、自分勝手に回数を減らしたり、付けたりつけなかったりすると治療効果が出にくくなり、かえって副作用が起きやすくなることがあります。アレルギー結膜炎への目薬による治療は、出現してしまった症状を瞬時に抑えることよりも目薬をつけておくことで症状を出にくくさせる効果のほうが期待できます。管理がうまくいかない場合には、頻繁に通院して適切に治療してもらってください。
2023年10月