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症例詳細

No.135  術後にタバコを吸ってもよいですか?

先日、私の母が白内障の手術を受けました。67歳です。若い時分からタバコが大好きで、今でも1日に10本以上は吸っていると思います。手術した翌日までは、本人も禁煙していましたが、3日目にはいつも通りに吸ってしまっています。折角よく見えるようになったのに、傷口に影響しないかどうか心配です。

いつから吸わせてもよいでしょうか?体に良くないことをいつも言うのですが、今まで、タバコを吸い続けてきたけど病気になったことは一回もない、と言い張り、やめようとしません。教えてください。(38歳、娘)

手術後でなくてもよくありません。もちろん傷口の治りにも影響します。タバコがその病気の原因の一つであることが100%証明されている病気を列挙します。まず、喫煙者本人ですが、鼻腔・副鼻腔がん、口腔・咽頭がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、脳卒中、ニコチン依存症、歯周病、慢性閉塞性肺疾患(喘息・気管支炎・肺気腫など)、虚血性心疾患、腹部大動脈瘤、末梢性の動脈硬化、2型糖尿病、早産、低出生体重児・胎児発育遅延、がん患者の二次がん罹患、肺がん患者の生命予後、などがあります。

100%とは言えないが、関係していると考えられるものは、急性骨髄性白血病、乳がん、腎細胞がん、大腸がん、子宮体がん、前立腺がん、認知症、虫歯、結核、関節リウマチ、不妊、術後合併症、骨粗しょう症、白内障、胃潰瘍、など、珍しくない病気ばかりで、数えますとキリがありません。

また、受動喫煙(そばにいる人が吸ってしまう状態)では、脳卒中、肺がん、虚血性心疾患、乳幼児突然死症候群、小児の喘息、なども100%証明されています。つまり、ご家族も計り知れない影響を受けるということです。67歳で白内障の手術を受けなくてはいけなくなったのもタバコが関係している可能性がありますし、手術後の治りも悪くなりますので、喫煙はやめましょう。

また、喫煙は、ニコチン依存症という病気です。自分でやめられなければ、禁煙外来を受診し、あきらめずに一刻も早く喫煙をやめましょう。ご家族様のためにもやめさせてあげてください。海外の先進国では、喫煙できるレストランはとても少なくなっています。