症例詳細
No.118 緑内障に使ってはいけない薬とは?
現在、緑内障で眼科に通院していて、もうすぐ3年になります。最近風邪をひいて、内科を受診したところ、緑内障があるのなら薬を出せないと言われました。そこでかかりつけの眼科医に尋ねると、私の場合には大丈夫なので処方してもらうようにと言われました。
しかし、インターネットで調べると、緑内障に悪い薬がたくさん出てきて、心配です。本当に大丈夫なのでしょうか。どういうお薬がいけないのでしょうか?詳しく教えてください。(53歳 女性)
とても良い質問です。緑内障にはいくつかの種類があり、タイプによって違います。眼の中には房水という水が循環しており、その房水の出口が狭いタイプの緑内障の方が要注意です。この房水の出口を隅角とよびますが、隅角が閉塞すると急性の緑内障発作になり、早期に手術治療をしないと失明してしまいます。
隅角を狭くしてしまうお薬は、一般的には、風邪薬や抗不安薬・抗うつ薬、アレルギーに使うお薬などに多くありますし、目薬の中にもそのような作用のものがあります。副交感神経に抑制的に働いて、瞳を大きくする可能性のあるお薬(抗コリン作用の薬)です。抗コリン作用をもつ薬は、内服薬だけでなく、消化管の内視鏡検査を受ける際などに用いられる注射薬にもあります。
ご質問者の場合には、眼科の先生のお話から隅角が狭いタイプの緑内障では無いか、もしくは手術治療などで、隅角閉塞を起こしにくくなった状態と考えられます。ですから、問題ないのです。ただし、ステロイド薬はどのタイプの緑内障であろうと眼圧をあげる可能性のあるお薬です。
重症な緑内障や眼圧コントロールがうまくいっていない場合には、ステロイド薬を使用することに慎重であるべきですし、抗コリン作用をもつ薬を長期に使用する場合には、眼圧の変動に気をつけられるのがよいです。また、血圧が高くなると眼圧も少し高くなる傾向があります。まとめますと、緑内障のタイプによっては、よくない薬がありますので、眼科の先生に緑内障の程度と気をつけるべき薬があるかどうか尋ねるのがよいと思います。
2017年03月