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症例詳細

No.98  涙とまばたき

ドライアイで近所の眼科に通院しています。すごく疲れ易いのとパサパサもします。パソコンを長時間見ていたりした後は、ゴロゴロすることもありました。

今は処方されている目薬で、それほどひどい症状は無いのですが、角膜に傷がついていることが多いらしく、眼科医からいつも瞬きをするように指導されます。目薬をさした後にパチパチしているのですが、それでよかったでしょうか?(40歳男性)

瞬き(まばたき)は通常3秒から10秒程度に1回無意識で行われる瞼の運動です。一方涙は、1日に2〜3ml、1分間では1〜2μl、瞬きするたびに出ている(基礎分泌)と考えられています。涙は、瞬きによって目の表面についた異物を洗い流し、眼表面の細胞の栄養も行っているため、涙がないと失明してしまうほど重要です。健康な方の涙は瞬きから次の瞬きまでの間、膜状に眼表面を覆っていて(涙膜と言います)壊れません。

つまり涙膜が外界からの刺激から眼表面を守っています。悲しかったり強い痛みを感じたりした場合には、いわゆる反射性流涙という一時的な涙が出ます。ドライアイは量的もしくは質的に涙が少なくなってしまう状態で、眼表面に傷がついたり見えにくくなったりする病気です。瞬きはとても大切で、パソコンを集中して見るなどすると、10秒以上瞬きしないこともあり、このような状態が長く続けば多くの方がドライアイになってしまうと言われています。ですから瞬きについてはよくご理解ください。

通常何をしているときにでも3秒に1回程度、眼をつぶってください。目薬を差した後にするものではありません。3秒に1回わざわざ瞬きをし続けることは不可能と思いますが、集中してパソコンやテレビを見ている時などに、思い出してやってください。パチパチするようなあまりに早い瞬きでは涙は出ないと言われています。また、完全につぶらない瞬きも涙膜がすぐに壊れてしまいますのでよくありません。

ただしギュッとつぶるような強い瞬きもあまり眼によくありません。優しくしっかり(完全に)そしてゆっくり3秒に1回瞬きしてください。顔面神経麻痺や顔のけがや手術後に目の表面がぬれにくくなった場合にも、意識して瞬きしてもらうとよいと思います。