症例詳細
No.95 モノビジョン法を利用した白内障手術の理解
3年前に白内障の手術をした80歳になる母親のことです。何でもモノビジョン法というやり方でやってもらい、手術後は遠くも近くもすごくよく見えると喜んでいました。実際に、56歳の私よりもテレビも新聞も良く見えています。
今もよく見えているように思えます。しかし、最近右眼を隠すと左眼がよく見えないと言い出しました。どういうことでしょうか。(56歳女性)
モノビジョン法というのは、片眼で遠くを見えるようにし、もう片眼で近くを見易くする方法で、両眼を使うことにより遠くも近くも見えるようにするやり方です。白内障の手術時やコンタクトレンズ矯正など、日常生活でメガネを使わないで済む画期的な方法の一つです。
恐らくお母様は両眼とも開けて見ていただけば問題なく遠くも近くも見えるはずです。ただし片眼を塞いでしまうと、もともとそちらの眼で見ることにしてあった距離の物が見えにくくなります。お母様の場合には右眼が遠くにピントが合っていて、左眼は近くにピントが合う状態になっていると思います。
右眼を隠して左眼で新聞が良く読めれば問題ありません。左眼では初めから遠くはよく見えない設定です。日常的に片眼を隠すことはしないように教えてあげてください。もし、視力をチェックしたいと感じましたら、両眼で遠くを見て良く見えるか、両眼で新聞を見て良く読めるかを調べてください。
日常はよく見えているのに片眼を隠すことを頻繁に行うと、かえって見えにくさが気になってしまうことになります。もちろん、本当に眼の病気がおきている可能性もありますから、眼科専門医の診察をお受けになることも大切です。
2015年04月