症例詳細
No.69 オルソケラトロジー(夜中にCLつけて裸眼で生活って?)
先日テレビを見ていましたら、つけたまま寝るコンタクトレンズがあり、それで近眼が治ってしまうというお話でした。小学校5年生の息子はサッカーをやっているのですが、メガネをかけることはヘディングする時に危ないと思っていますし、コーチからも禁じられています。
コンタクトレンズは近所の眼医者さんからは小学生には勧められないと言われ困っていました。裸眼で見えるならこんなにうれしいことはないのですが、夜中にコンタクトレンズをつけていて危険はないのでしょうか。詳しく教えてください。(33歳、女性)
この方法はハードコンタクトレンズを睡眠中だけつけておくことにより、角膜(くろめ)を変形させて近視を治すものです。オルソケラトロジーと言います。2週間ほどつけると安定して、起床後から就眠前まで裸眼の良い視力を保つことができます。但し、睡眠中の装着は毎日必要となります。あまり強い近視や乱視の方は矯正効果が不十分です。
オルソケラトロジーは数十年の歴史があり、日本にも導入されていますが、日本眼科学会では、安全性の問題からオルソケラトロジーの適応を20歳以上としてきました。この基準に従い、私自身も今まで日常診療では20歳以下には勧められないとしてきました。
現在まで、近視の進行予防としてエビデンスのある方法はあまり無く、近距離の作業を控えて戸外で遊ぶことが推奨されていました。しかし、近年我が国の研究結果で、オルソケラトロジーに近視の進行予防効果があると認められました。今後は、安全面に注意して学童へのオルソケラトロジーが推奨されていくと思います。
ちなみに私自身も現在毎日使用していますが、洗浄消毒をしっかり行えば危険性は低いと考えています。また、成人してから使いだすよりは学童期に用いることに意義があると思います。矯正効果も高いです。ただし昼間にコンタクトレンズを装用するのと同程度にトラブルは起こる可能性があると考えてください。
2013年02月