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症例詳細

No.61  中心性網膜炎

最近、右眼で物を見ると、中心部分がぼやけ、物が少し小さく見えたり、直線がゆがんで見えたりするようになりました。眼科を受診したところ、「中心性網膜炎」と診断されました。ストレスが原因ではないかと言われ、しばらく様子を見ることになりましたが、治療をしなくても本当に治るのでしょうか。レーザー治療があるとも聞きましたが、どのような場合に必要になるのでしょうか。また、再発したり、将来視力が悪くなったりすることはありませんか。(45歳、男性)

中心性網膜炎は、正式には「中心性漿液性網脈絡膜症」と呼ばれ、網膜の中心にある黄斑部に水分がたまり、網膜が局所的に浮き上がる病気です。30~50歳代の働き盛りの男性に多く、片眼に発症することが一般的です。物がゆがんで見える変視症、物が実際より小さく見える小視症、中心部が暗く見える中心暗点、遠視化などが特徴的な症状です。原因は完全には解明されていませんが、網膜の外側にある脈絡膜の血管透過性が亢進し、網膜色素上皮の機能障害を介して網膜下に水分がたまると考えられています。精神的ストレス、睡眠不足、ステロイド薬の使用などが発症に関係することが知られています。

診断にはOCT(光干渉断層計)が有用で、網膜下にたまった水分を確認できます。また、蛍光眼底造影検査(FA)では、網膜色素上皮から蛍光色素が漏れ出す漏出点を確認でき、治療方針の決定にも役立ちます。この病気は比較的予後が良く、初発例の多くは数か月以内に自然治癒するため、まず経過観察することが一般的です。ただし、再発することも珍しくなく、網膜下液が長期間残存した場合だけでなく、短期間で治癒した場合でも、視力低下やゆがみなどの後遺症が残ることがあります。

自然軽快しない場合や再発例では、レーザー治療を検討します。蛍光眼底造影検査で確認した漏出点が黄斑中心から十分離れていれば、通常のレーザー光凝固が可能ですが、中心に近い場合は網膜を傷める危険があるため、光線力学療法(PDT)などを選択します。また、加齢黄斑変性(AMD)とは病態が一部重なっており、特に高齢者では両者の特徴を併せ持ち、明確に区別できない症例もあります。自然治癒が期待できる病気ですが、放置してよいという意味ではありません。定期的な検査で回復を確認し、必要な時期に適切な治療を受けることが大切です。