症例詳細
No.56 3D映像が小さい子には危険って?
3D映像が見られるTVに買い替えようと思っています。すごくきれいな映像を楽しみにしているのですが、友人から小さい子にはあまり見せない方がよいと聞きました。
うちには2歳と 4歳の子供がいるのですが、見せてはいけないのでしょうか。何か視力の発達に影響が出るのでしょうか。何歳ぐらいになったら良いのでしょうか。詳しく教えていただければと 思います。(32歳女性)
3D映像は、立体的に見えてとても臨場感あふれる映像が作り出されます。この原理は、私たちの眼の立体視という機能を使っています。左右それぞれの眼はわずかに位置が異なる ことから、片目づつを隠して景色を見るとほんの少し見え方が違うことに気付くと思います。
現代の3D映像は偏光フィルターもしくは液晶シャッターを用いて左右眼に別々の映像を 投影することで、この立体視を作っています。この無理に作りだされる立体映像が、目のピント合わせ(調節)と寄り目の機能(輻湊)とのアンバランスを引き起こし、眼精疲労を生じると されています。
日本では、5歳の健康な子供が立体映画を見た後に急性内斜視となり、結果的に手術治療を要した症例がいます。ひと昔前よりは、立体映像の作り方も見え方の アンバランスを少なくするように改善されてきていますので、この症例のような事例が起きる可能性は少ないと思います。
ですが、両眼視機能が発達段階にある未就学児童(6歳以下)や、 斜視(No.17)を自覚している方、3Dを見ていてすごく疲れを感じる方などは、注意を要すると考えられています。ですから、あなたのお子さんたちには、 長時間3D映像を見させることはしない方がよいと思います。どうしてもという場合には、斜視の有無や屈折の異常などをお近くの眼科医に診てもらって、相談されるのがよいと思います。
2023年07月