症例詳細
No.44 目のマッサージ
私は眼が疲れたり、少し痛かったりするとよくマッサージをします。眼を閉じておいて眼球の上から眼を揉みほぐしたり、撫でるようにするものです。マッサージをすると気持ちが 良いですし、何となくよく見えるようになった気がします。
友人にそのことを話したら、やめた方が良いのではないかと言われました。眼のマッサージは疲労回復に良いと聞いたことが ありますが、あまり良くないのでしょうか。教えてください。(47歳女性)
人間の眼球は2~3cmほどの直径をしています。小さいながらこのスペースに、見えるための微細な構造を収めています。したがって、わずかな形態状の変化でも病気を誘発する恐れがあります。まず、眼球を圧迫しますと、眼圧が上がってしまいます。眼圧が高くなると、緑内障を引き起こしたり、悪化させたりする危険があります。また、眼底にある血管の循環が悪くなる可能性もあります。
痒みのため頻繁に眼をこするアトピー性皮膚炎では白内障や網膜剥離になり易く、その原因はこするためと考えられています。つまり、マッサージを繰り返すことにより白内障や網膜剥離になり易くなると思います。さらに、眼心臓反射といって、眼球の圧迫により心臓の働きが抑制されて徐脈(脈が遅くなること)になります。結論として、眼球をマッサージすることで病気を誘発する可能性が高いと思われます。眼のマッサージはしないことをお勧めします。
ただし、眼科医からの指示で眼のマッサージをする必要がある場合を除きます。これは、治療として眼球マッサージをしなければならない病気、例えば網膜動脈閉塞症や緑内障の手術後で必要な場合があるためですが、比較的まれな状態です。一方で眼の周りにはツボがたくさんあると言われます。眉毛の所や頬骨の上や鼻の横の部分で硬いところ(骨の上)はマッサージしても良いです。骨の上はマッサージしても良いと思いますが、その骨より内側で眼球に圧力がかかるようなマッサージは、医師の指示以外では行わないで下さい。
2025年05月