症例詳細
No.32 メガネをかけると目が悪くなる?
小学校5年生の男の子ですが、黒板の字が見えないと言っています。学校健診で受診のお勧めにしたがって、眼科を受診したときには、近視なのでメガネが必要と言われました。ただ、メガネを作ることに、夫が反対しています。夫は小学生の時から近眼と言われ、メガネをかけ出したそうです。
そこからどんどん進み、何度もメガネを作り変えたそうです。高校生のころになるべくメガネをかけないようにしてから、近眼が進まなくなったと言います。なるべくメガネをかけさせないほうがよいのでしょうか。(34歳母)
近視(近眼)は、近くのものはよく見えるのに対して、遠くのものが見えにくい状態です。眼科で精密検査をして近視といわれ、メガネの装用を勧められたのであれば、作られたほうがよいかと思います。
旦那さんの場合がどのようであったかは、正確にはわかりません。近視の進行は、人によって様々ですが、学童期には進むことが多いようです。近視が進んでいた時期とメガネを作り変えていた時期が同じ時期であったのではないでしょうか。つまり、メガネを装用しようがしまいが近視は進行したのではないかと想像します。
もっとも、このQ&Aの「偽近視」に書きましたように、本当の近視ではないのにメガネをかけたり、自分にとっては強すぎるメガネを作ったりしてしまうと、近視の進行 を助長すると考えられます。適切な度数のメガネをかけさせることが、近視の進行を防ぐことになります。学童で最も大切なことは、学校生活に支障がない程度見えるようにすることです。
メガネを作らないでいると、授業の内容がわからなかったり、その子の身体能力や運動能力を低く評価されたりすることにもつながりかねません。我々医療従事者・教育関係者・親御さんなど児童の周りが積極的に、その子がよりよい学校生活を送れるように、視力の面でもサポートすべきと思っています。もちろん、遠視や弱視ではメガネのかけさせ方が全く違いますから、 正確な診断と指導が大切です。信頼できる眼科医の助言に従ってください。
2023年01月